
献立の悩みを楽しさに変える。新規サービスの成長を支える「本気」の運用支援とは
- Client味の素株式会社
- Project新規Webアプリサービスの開発・運用支援
- 味の素株式会社梅津 様
- 味の素株式会社須藤 様
- 味の素株式会社入澤 様
- ビーワークス
プロジェクトマネージャー谷口 - ビーワークス
ディレクター青木 - ビーワークス
デザイナー田中丸 - ビーワークス
エンジニア得津 - ビーワークス
営業徳田
概要
味の素株式会社(以下、味の素(株))は2024年3月、献立提案Webサービス未来献立®(新しいウィンドウが開きます)をリリースした。献立を考える負担感を減らし、食事をもっと楽しくするというコンセプトのもと、ユーザーの日々の食事にあわせて栄養バランスを整えた献立を提案するサービスだ。ビーワークスではサービスの立ち上げからリリース後の運用まで、デザイン、開発、改善提案など、包括的な支援を続けている。ユーザー数が順調に伸び続け、社内外にファンが増えているという未来献立®は、どのような想いでつくられているのか?味の素(株)コーポレート本部 R&B企画部 CXサービス開発グループの梅津様、須藤様、入澤様と、ビーワークスのプロジェクトチームとで座談会を実施した。
所属部署は取材当時のものです。
立ち上げから運用まで
ビーワークスは「本気で考えてくれる」
未来献立®とは、どんなサービスなのでしょうか。

梅津2024年3月にリリースした、献立提案Webサービスです。単品のレシピだけではなく、計算された栄養バランスに基づき主菜・副菜・汁物をセットで提案できるのが特長です。企画が始まった当時の調査では、主婦の方の7〜8割がその日の献立について悩んでいることがわかっていました。そうしたお悩みを味の素(株)の知見を活かして解決し、献立を考える時間そのものを楽しく、ハッピーにすることを目指しています。


須藤このサービスを通じて、当社のファンを増やしていくことも目的のひとつです。

谷口特定の商品を宣伝するためではなく、あくまで栄養バランスの良い献立を楽しくつくっていただくためのサービスというのも特長だと思います。

ビーワークスをパートナーに選んだ決め手は何だったのでしょうか。

須藤立ち上げ時は複数のパートナー候補から検討しましたが、ビーワークスさんが一番サービスの解像度が高く、寄り添っていただける印象を受けまして、ぜひ一緒にやりたいという気持ちになりました。具体的に言うと、初回の提案時点で日にち単位のスケジュールを引いていただいたんですよね。プロジェクトの初期だと、1〜2か月の単位で期間を区切って「だいたいこのくらいです」というスケジュールが多いと思います。そこをビーワークスさんは最初からギチギチに組んだスケジュールを持ってきてくれたので、本気で取り組んでいただけるんだろうな、と思いました。

梅津私もいろいろなプロジェクトに関わってきましたが、ここまでサービスについて本気で考えてくれるパートナーはなかなかいないと思います。こちらがポロッと発言したことに対して、次の打ち合わせでもう提案が上がってきたこともあり、驚きました。「え、これも拾って考えてくれたの!?」と日々感動しています。社内の別のチームにもビーワークスさんを紹介していますよ。


徳田ありがとうございます。立ち上げ当初、Webアプリケーションの開発から運用までをトータルに支援するという点では、私たちもそこまで経験豊富というわけではありませんでした。だからこそ本気で考える必要がありましたし、二人三脚で良いものをつくりたいという思いで今も取り組んでいます。
ユーザーに寄り添った改善を続け
サービスは順調に成長中
リリース後、具体的にどのような運用を行ってきたのでしょうか。

梅津大きく分けて2つあり、Webアプリそのものの改善と、サービスページの改善です。ビーワークスさんは躊躇なく前のデザインを捨てて、より良いものを一緒に考えてくれますよね。そこが素晴らしいなと思います。

谷口リリース後に衝撃を受けたのが、Webアプリのログイン画面で8〜9割のユーザーが離脱していると判明したときでした。当時はロゴとログインボタンだけ置いていたのですが、それだとユーザーが不安を感じてしまっていたんですね。すぐさま「ログインするとこんな便利なことがあるよ!」という説明画面を挿入しました。

田中丸新規の会員登録も高いハードルでしたね…。今回のサービスはIDの登録が必要ですが、それが原因でユーザーが去ってしまうこともあります。とにかくまずは体験して良さをわかってもらうために、会員登録不要で使えるトライアル機能を追加で設けました。また、献立を楽しく考えることがコンセプトなので、操作感も重要です。献立を選ぶときのスワイプ機能ひとつとっても、とにかく楽しく、アプリライクに使えるように調整を続けています。

得津開発面でも、アプリライクな体験のための技術を取り入れています。Webサービスではありますが、PWA対応をすることで、ホーム画面へのブックマークやプッシュ通知などネイティブアプリとほとんど変わらない機能を実装できています。

サービスページについてはいかがでしょうか。

梅津サービスページのファーストビューは、特にビーワークスさんに貢献いただいたと思います。リリース時は世界観を重視してイラストのグラフィックを置いていたのですが、そうするとどんなサービスかが伝わらないという課題が浮上しました。ユーザーは何ができるのかを知りたくてページに来ているので、パッとサービスの内容がわかる必要があるわけです。なんとかならないかなーと思って谷口さんに相談したら、「実はファーストビューには、勝ちパターンがあります」と……(笑)。

谷口リリース時は味の素(株)さんの想いもあり、まずは世界観で訴えてみようという方針でした。しかしサービスの内容をパッと伝えるという狙いでしたら、方法は変わります。まず、そもそもアプリであることを伝えるために、スマートフォンを見せる。実際にユーザーが触る画面のUIも絶対に見せる。そして献立を一式提案するという機能を伝えるために、主菜・副菜・汁物のビジュアルを載せて、シズル感も担保する。このように情報を率直に伝えるようなファーストビューが勝ちパターンです、とご提案しました。ビーワークスでは他の案件でもたくさんのページをつくってきたので、これまでどんなファーストビューの反応が良かったかというノウハウを活かすことができました。


梅津おかげさまでサービスとして着実に成長しています。ユーザー数は増え続けており、多い日は1日に100人以上の新規登録があります。すごく調子が良いと言えますね。
実際のユーザーの反応は、どのように拾い上げているのでしょうか。

入澤開発コミュニティというものを運用しています。週に2回ほど、コミュニティに参加している方に向けて投稿を行い、それに対する反応からユーザーのインサイトやペインポイントを知って開発に取り入れています。


谷口たとえばボタンの色をどうするか悩んだときでも、コミュニティの方に意見を聞き、開発に取り入れることがあります。スピーディにユーザーの声を取り入れられるのは、味の素(株)さんがコミュニティで良い関係性を築いてくださっているからだと思います。

入澤先日、ユーザーインタビューも行いましたが、その際もビーワークスさんにご協力いただきましたね。

徳田ビーワークスではインタビュー内容の設計や、当日のファシリテーションなど全体的なご支援をしました。ちょうど今、インタビューした内容をレポートにまとめ、具体的な改善提案を練っている段階です。
社内のファンづくりにも効果大!
豊富な知見を活かしたキャラクター開発
未来献立®には、エプロンちゃんというキャラクターがいますよね。キャラクターの開発に至った経緯を教えてください。


梅津社内の別プロジェクトでキャラクターが生まれていて、うちのプロジェクトでもやりたい!と思ったのがきっかけです。ビーワークスさんは「なめこ」というキャラクターを開発・運用している会社でもあるので、とりあえず相談してみました。そのときもすぐにご提案いただけましたよね。

青木最初はいろいろな方向性のラフを30〜40案くらいお見せしました。未来献立®のロゴに絡めるとか、AIに絡めるとか、ご飯に絡めるとか。エプロンちゃんは食器や調理器具などキッチン周りの道具に絡めた案のひとつでした。

梅津エプロンちゃんは青木さんの案でしたね。ゆるい感じが未来献立®らしいと思っています。頑張りすぎない感じというか。

青木展開のしやすさも決め手のひとつでした。エプロンちゃんは表情豊かなバリエーションをつくれるし、線がシンプルなのでアプリの画面に入れても馴染みやすいんです。そのあたりもなめこで培ったノウハウを参考にしています。

実際の反響や、キャラクターの効果はありましたか。

入澤アプリのローディング画面に登場させたのですが、インタビュー時にお客様から好評をいただきました。開発コミュニティでも、エプロンちゃんに関する投稿はいいねやコメントの数が多く、投稿が楽しみという声をいただいています。


梅津社内のファンを増やすのにも効果がありました。ビーワークスさんがデザインしてくれたエプロンちゃんのパネルとステッカーを社食に置いているのですが、今のところステッカーを300枚くらい持ち帰ってもらえています。それをきっかけに社内で声をかけていただくこともあります。

須藤未来献立®とは関係ない社内会議で一緒になった人が、PCにステッカーを貼ってくれていると嬉しくなりますよね。

入澤Web会議の背景用にも、エプロンちゃんを使った画像を作成いただきました。社内の打ち合わせで使っていると「それ可愛いね」と声をかけてもらえます。

梅津社内のファンづくりはすごく大切だと考えています。新規事業はどうしても人員が少なく、予算も限られているので、社内で応援してくれる人が増えるだけでとてもやりやすくなります。
今後のエプロンちゃんの活躍も楽しみですね。

梅津キャラクタービジネスに展開していっても良いと思うんです。サービスが出発点ではあるものの、エプロンちゃんが人気になりすぎて「え、エプロンちゃんって未来献立®のキャラだったの?」ってなるような未来もあり得ますよね。新規事業なので、何を主軸にするかは変えたっていいと思います。

青木SNSデビューも計画中ですよね。そちらもなめこのキャラクタービジネスの知見を活かしながら、どういうコミュニケーションをとっていくか、どうキャラを活かしていくかを議論している真っ最中です。

梅津社内のSNS担当者にビーワークスさんの提案書を見せたら、こんなに立派な提案書が出てくるのかとびっくりしていました。立ち上げ時のスケジュールの話と一緒ですよね。最初から本気だ!と伝わる提案でした。
「隣の席にいるように気軽に相談できる」
速く、高品質に運用を進められる関係性とは
運用においては全体の進行管理も重要になると思うのですが、どのように進めているのでしょうか。

谷口週1回の定例会で、進行中の案件の進捗共有や、新しいアイデアの交換を行っています。基本的には定例会を起点に回していますね。

梅津定例会でデザインデータを画面共有いただいて、話しながらどんどんブラッシュアップしていくことがありますよね。「これでいこう」とその場で決まることもあり、進め方がとても速くて助かっています。

徳田ビーワークスでは、必要に応じてデザイナーやエンジニアも会議に参加し、議論に加わるようにしています。どんなデザインが良いか、実現するためにはどう開発するのが良いかをその場で一緒に話すことで、運用のスピードを上げています。


得津効率的な運用という意味では、アプリは細かいトライ&エラーを繰り返していくものなので、それをふまえた開発も心がけています。先ほどお話ししたように、1つの機能を実装しても、ユーザーの反応が良くなければやっぱり削除するという判断はあり得ますよね。いわゆる疎結合と言われるものですが、機能ごとに切り離して、追加したり削除したりしやすい設計を意識しています。
定例会以外のコミュニケーションはいかがですか。

谷口Backlogというプロジェクト管理ツールを導入しています。案件ごとの進行管理にも使いますが、相談があるときに気軽に連絡してもらう場としても使っています。

梅津隣の席にいるような気持ちで、本当に気軽に相談させてもらっています。コメントにスターをつける機能があるんですが、大量につけてもらったときは嬉しくなります。


谷口実はそうやって相談しやすい雰囲気づくりを心がけていました(笑)。Backlogでいただいた内容は、次回の定例会のアジェンダに加えて具体的にヒアリングすることが多いですね。今後は、サービス全体の進行をより可視化できると良いなと考えています。複数のパートナーさんと案件が進むなかで、いつ、何が行われるのかを関係者全員が把握できる状態になれば、もっとシナジーが生まれると思います。アプリのバージョンアップにあわせて広告を打ち出していただくとか、大きなメディアの露出までに重要な箇所を修正しておくとか、いろいろな連携が考えられますよね。
逆に、味の素(株)さんが何か意識していることはありますか。

梅津個人的には、やっていただいたことに対してフィードバックを返すことを心がけています。たとえばエプロンちゃんを社食に飾ったなら、その写真を撮って送るとか。ドライにならず、感謝をきちんと伝えるとか。

田中丸それはすごくモチベーションになっています!フィードバックもそうですし、普段のアイデア出しとか何気ないつぶやきとか、いつも積極的にリアクションをいただけるので、全力で応えることができます。


青木イマイチだと感じたときは、しっかりそう仰っていただけるのも助かります。長期で続いていくプロジェクトなので、次の施策をご提案する際にも、これは刺さりそうだとか、これは違うかも、といった判断がしやすくなるので、クオリティも上がっていると実感しています。

谷口私たちはクライアントのやりたいことを具体化する立場なので、意思をはっきり示していただけるとやりやすいんです。お三方はいつも意思を持って判断いただけるので、とてもプロジェクトを進めやすいと思っています。
味の素(株)の入口になるようなサービスを目指して
楽しさと使いやすさを追求していく
今後、未来献立®をどう成長させていきたいですか。

梅津サービスが入口となって、味の素(株)のファンが増えていくような状態が目標です。いつか社名を聞いた人が「あ、未来献立®やってる会社だよね」と言ってくれるようになったら大成功だなと思います。

田中丸普段の会話では、今日はこの献立「で」いいか、という言葉をよく耳にしますよね。未来献立®を使うことで、この献立「が」いいな、という言葉が出てくるようなサービスにしたいと思っています。

青木ユーザーが抱える献立の苦しみを、ちょっとでも楽しさに近づけたいですよね。

須藤数値的な指標としては、ユーザーの数と、使い続けていただく長さは追いかけていきたいです。サービスが当社ファンを増やす入口になるためには、やはり多くのユーザーと繋がるのは大事ですし、長くサービスを使っていただくことで、未来献立®はもちろん、当社に対しても愛着を持っていただけるといいなと思います。


得津使い続けていただくためにも、ユーザビリティの改善は続けたいですよね。ユーザー目線を忘れず、簡単で使いやすく、かつ楽しいという操作感を目指しています。

入澤これからも開発コミュニティ担当者として、ユーザーの皆さんの声に耳を傾けながら開発を続けていきたいと思います。

谷口今日お話しして、改めて未来献立®はプロジェクトチーム全員の想いが結集したサービスだなと実感しました。1人でも多くの人のお悩みを解決するために、もっともっとサービスを改善していきたいと思います。これからもよろしくお願いします!
